脳と発達
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免疫グロブリン大量静注療法が奏効したBickerstaff型脳幹脳炎の小児例
杉山 延喜浜野 晋一郎古賀 道明
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2003 年 35 巻 4 号 p. 327-330

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抄録
症例は11歳男児. 上気道炎症状の後, 歩行障害と意識障害, 眼球運動障害で発症し, 多発性脳神経障害や両上肢の筋力低下, 小脳症状, 深部腱反射の消失を認めた. 第7病日に行った髄液検査で髄液蛋白細胞解離がみられ, 急性期血中にGQ1bとGT1aに対するIgG抗体を検出した. Bickerstaff型脳幹脳炎 (BBE) と診断し, 免疫グロブリン大量静注療法を行った. 投与中に眼球運動障害や嚥下障害, 小脳症状および両上肢の筋力低下は改善傾向を示し, 退院時には軽度の眼球運動障害と深部腱反射の消失を認めるのみとなった.
BBEにおける治療法は確立していない. 本症例では上肢脱力や髄液蛋白細胞解離, 抗ガングリオシド抗体陽性などGuillain-Barre症候群と類似した点が多くみられ, さらにGuillain-Barre症候群で有効性の確立した治療法である免疫グロブリン大量静注療法が奏効した. 免疫グロブリン大量静注療法は, BBEの治療において選択肢のひとつとして考慮すべきである.
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© 日本小児小児神経学会
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