脳と発達
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乳児期発症Pompe病患児に対する酵素補充療法
富士川 善直木下 悟宮本 雄策中山 東城遠藤 雄策佐々木 征行
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2007 年 39 巻 5 号 p. 383-386

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抄録
Pompe病は酸性α-グルコシダーゼ (GAA) の欠損により筋力低下, 肝臓や心臓の腫大などをきたす致死的疾患である.これまで有効な治療はなかったが, 近年欧米諸国から酵素補充療法の有効性が報告されている. 今回, 遺伝子組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ製剤 (rhGAA) の使用機会を得た.症例は乳児期発症Pompe病の男児. 2歳8カ月より26カ月間, rhGAAの投与を行った.投与開始後, 急速に肝腫大と心肥大が改善し心駆出率も上昇した.開始時は頸定も見られなかった運動機能は治療により伝い歩きが可能になった.聴性脳幹反応ではV波閾値の改善を認めた.今回の投与量・投与方法で有害事象は出現しなかった.酵素補充療法は本症に対して有効な治療法であると考えられた.
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© 日本小児小児神経学会
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