2008 年 40 巻 6 号 p. 469-472
West症候群を発症した男児に対するACTH療法中に, 高度の洞性徐脈と心筋肥厚を認めた.徐脈は睡眠時に顕著となったが, 刺激を加えることなく短時間で回復した.覚醒時には明らかな徐脈は認めなかった.心エコー検査で心筋の肥厚を認めたが, 房室弁逆流などの機能不全は認めず, 血圧低下, 浮腫, 肝腫大などの心不全徴候も認めなかった.ACTH療法を中止したが, 徐脈の改善までに長期間を要した.感染や呼吸不全など徐脈を誘発する明らかな要因は認めず, 徐脈および心筋肥厚はACTH療法に起因すると考えられた.West症候群の治療に際して, ACTH療法を施行する場合は, 心エコーなどで注意深い心機能の評価が必要である.