2008 年 40 巻 6 号 p. 478-482
先天性四肢短縮症の中でも頻度の高い軟骨無形成症 (achondroplasia) の亜型である, severe achondroplasia with developmental delay and acanthosis nigricans (SADDAN) 症候群の日本人女性例を経験した.遺伝子検査にて, 既報のfibroblast growth factor receptor 3 (FGFR3) 遺伝子内のK650M変異が同定された.生下時より重度の四肢短縮症像を呈し, 幼児期より頸部を中心とした黒色皮膚病変 (acanthosis nigricans) が出現し拡大した.神経画像所見では, 胎生期発症と思われる水頭無脳症および破壊性脳病変 (孔脳症様) の合併があり, 結果的に難治性てんかんや重度の精神発達遅滞を呈した.遺伝子変異を同定したSADDANの日本人例の報告例はないため, 本稿にて詳述する.