抄録
夜尿症の病態生理を明らかにする目的で, idiopathic enuresis 21例について終夜睡眠ポリグラフを第1夜に記録し, 分析をおこなった.
1) 正常児と比較して, 睡眠段階の割り合いはSV, S1, S3の増加, SREM, S4の減少傾向がみられた.
2) 夜尿時の睡眠段階は, 22回の夜尿のうちS2で12例 (54.5%) と多く, S3, SREMは各1例と少ない.
3) 夜尿前後の睡眠段階の変化から, 覚醒機構の未熟性あるいは障害が推定された.
4) REM睡眠とNREM睡眠の周期的変動の乱れがつよく, 入眠期の障害とREM睡眠の睡眠内周期の障害が推定された