この論文の課題は、明治前期大阪における町共同体による土地家屋売買に対する規制の実態について明らかにすることである。 大阪の三つの地域における土地家屋売買の実態を検討した結果、町による規制について以下のことが明らかになった。 明治前期大阪における町による規制の具体的内容は、以下の三つの側面にまとめられる。 ( 1 )売買が町内へ周知されること。 ( 2 )売買が成立するためには、町内の家持の同意が必要であること。 ( 3 ) 町内で物件が競売されることによって、その町内住民が物件を優先的に取得できること。 また、この論文は、戸長役場文書が町による規制を検討する際、有効であることを示した。