大阪歴史博物館研究紀要
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環境民俗学の視点と河川漁撈研究
伊藤 廣之
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2015 年 13 巻 p. 0049-0060

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抄録

本稿では、一九九○年代以降に生まれた、自然や環境を対象とする民俗学の研究として、野本寛一の生態民俗学、篠原徹の民俗自然誌、鳥越皓之の環境民俗学、菅豊の人と環境の民俗学を取り上げ、彼らがどのように自然や環境を捉えようとしていたのか、その論点の検討をおこなった。そのうえで、菅がコモンズ論を展開するうえで用いた視点をヒントにしながら、鳥越が提示した環境民俗学の三つの視点を整理・統合し、「自然と人の関係性」と、環境を媒介とした「人と人の関係性」という二つの視点を提示した。そのうえで、漁撈研究のための分析枠組みとして「漁撈をめぐる三つの関係性」を設定し、今後の河川漁撈研究について研究課題と研究方法を提示した。

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