2013 年 17 巻 1 号 p. 38-45
この論文では,英語の強弱脚において強勢のある母音と強勢のない母音に挟まれた子音連鎖(強弱脚内子音連鎖:trochaic clusters)のうち,特に,/ft/,/sp/および/sk/の三つの連鎖について考察する。これらの連鎖が単一音節語の語末に現れる際には,いわゆる単一母音(monophthongs)と共に現れる(例えば,soft,gasp,disk等)が,複母音(diphthongs)とは,事実上用いられない。本論文では,/ft/,/sp/,/sk/が強弱脚内子音連鎖として現れる時にも,同様の傾向が見られることを示す。つまり,これらの子音連鎖には,単一母音が先行することはよくあるが,複母音が現れることはほとんどない。この観察に基づいて,強弱脚内子音連鎖は,先行する母音と同じ音節内にある,つまり,これらの子音連鎖は,完全に(exhaustively),音節末部(the coda position)に音節化されている,と結論づける。