OJAD(Online Japanese Accent Dictionary)のアクセント,イントネーションの視覚呈示機能,および合成音声による聴覚呈示機能を音読練習に使用し,中国語を母語とする日本語学習者の音声の韻律自然性に対する評価がどう向上するか,効果を検証した。その結果,仮説「視覚,聴覚呈示なしでテキストを読むより,視覚,聴覚呈示があったほうが評価スコアは高い」は支持され,これらの呈示機能に効果が認められた。また,仮説「視覚呈示か聴覚呈示かによって効果に違いがある」は支持され,全体として視覚呈示のみ,あるいは視覚・聴覚の両方呈示を行った場合に,より大きな効果が認められた。さらに,仮説「学習者のレベルによって,視覚呈示と聴覚呈示で効果に違いがある」は支持され,音読評価が高い学習者には両方呈示が有効であり,音読評価が低い学習者には聴覚呈示が有効であることが示唆された。一方,仮説「視覚呈示してから聴覚呈示を追加する方法と,聴覚呈示してから視覚呈示を追加する方法とで,効果に順番による違いがある。」は支持されず,使用順に関わらず最終的な到達度として同程度の効果が認められた。