抄録
本研究の目的は,女子中学生スピードスケート選手の身体特性,エネルギーおよび三大栄養素摂取の現状を明らかにし,これらの調査指標が競技パフォーマンスに影響するのか否かを検証することとした.対象は,十勝地方で活動する中学生スピードスケートクラブに所属する女子選手20名 (1年生7名,2年生8名および3年生5名) とした.測定項目は,身体特性 [身長,体重,BMI (body mass index),体脂肪率,筋量,骨量] および栄養摂取状況 (エネルギーおよび三大栄養素)とした.また,競技大会で測定されたタイムおよび日本スピードスケート連盟が定めるバッジテストA級のタイムからパフォーマンス指標を算出した.その結果,1) 身長,体重,BMI,体脂肪率および大腿周囲経は学年が上がるにつれ増加し,2) 骨量および筋量は1年生と比較して2,3年生のほうが多く,3) 各学年ともエネルギー摂取量が目標量よりも少なく,エネルギー摂取バランスが悪く,4) パフォーマンスと骨量の間に正の相関関係が認められた.今後は,得られた知見を応用した女子中学生スピードスケート選手に対するサポートを充実させ,引き続き知見を積み重ねることで,ジュニア期スピードスケート選手に対するサポート環境の構築に繋げたい.