抄録
本稿は、幼児の造形表現を専門とする筆者が特定の保育施設に赴き、継続的な造形表現活動を行うことで子どもにどのような変化があるのかを捉える実践研究である。幼児期の造形表現活動は子どもの育ちに良い影響をもつことが認識され、全国的にさまざまな取り組みが行われている。地方都市である北海道帯広市の保育現場では、造形表現活動にどのような課題があるのかを取り上げ解決を試みるとともに、保育者にとっての造形表現の専門性について探ることを目的とする。
造形表現活動を技法体験が中心となる内容で行うことで、子どもが活動に取り組みやすくなることがわかり、ルーブリックを用いた子どもの造形活動に関する評価を担任保育者が行うと、有意にその評価が高くなることが明らかとなった。さらにその評価の変化には、子どもの変化に加え保育者の変化が大きく関わっているという可能性について述べるものである。