耳鼻咽喉科展望
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第31回 日本医用エアロゾル研究会
スギ花粉症患者鼻汁中のamphiregulinの測定の試み
竹内 万彦鈴木 慎也間島 雄一岡山 吉道
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2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s29-s31

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抄録
Amphiregulinとはポリペプチドで成長因子のひとつである。気管支粘膜中のamphiregulin陽性細胞数は喘息患者で増加していることから, I型アレルギーの代表的疾患で, 肥満細胞がその症状発症に重要な役割を演ずるスギ花粉症でもamphiregulinが増加しているのではないかと考え, スギ花粉症患者の鼻汁中のamphiregulinを測定した。対象は10例のスギ花粉症患者および10例の健常者とした。年齢, 性ともに両群に有意差はみられなかった。2006年のスギ花粉飛散期に鼻汁を採取し, amphiregulin濃度とヒスタミンをELISAキットを用いて測定した。花粉症患者の鼻汁中amphiregulin濃度の中央値は317pg/mlであった。一方健常者の鼻汁中のamphiregulin濃度の中央値は55pg/mlであった。両者の間には統計学的な有意差はみられなかった。同じ鼻汁の検体を用いてヒスタミン濃度を測定すると, 花粉症患者では健常者と比べて有意に高い濃度を示した。また, 両者を合わせた20検体についてヒスタミン濃度とamphiregulin濃度との間の相関関係を調べると, 有意な正の相関がみられた。
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© 2008 耳鼻咽喉科展望会
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