耳鼻咽喉科展望
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臨床
中耳に進展した小脳橋角部髄膜腫の1症例
志村 英二池田 宏明深美 悟今野 渉月舘 利治平林 秀樹春名 眞一
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キーワード: 髄膜腫, 中耳, MRI, 耳管
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2010 年 53 巻 1 号 p. 22-28

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抄録
症例は47歳女性で, 右耳痛, 難聴を主訴に近医耳鼻科を受診し, 中耳炎と診断され, 通院加療をうけていた。難聴は改善せず, 次第に嚥下障害も出現してきたため脳神経外科を受診し, 画像検査にて巨大な小脳橋角部腫瘍を指摘された。聴力, 嚥下機能評価目的に当科依頼となったが, 初診時, 右鼓膜より突出する腫瘤性病変を認めたため, 生検したところ髄膜腫との診断であった。後日脳外科にて全身麻酔下に開頭腫瘍部分切除術を施行した。病理結果は中耳と同じ髄膜腫であった。
頭蓋内髄膜腫の中耳内進展の経路について, これまでのいずれの報告も進展経路が不明か, あるいは臨床症状や画像所見より進展経路を推定するにとどまり, 客観的にその進展経路を証明し得た報告は皆無であった。今回われわれは, 3D撮像の造影MRIを施行することにより, 小脳橋角部髄膜腫が頸静脈孔から一旦頭蓋外へでた後, 耳管を経由して中耳内へ進展する可能性があることを証明することができた。
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© 2010 耳鼻咽喉科展望会
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