耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
臨床
耳硬化症初回手術例の臨床的検討
山本 和央内水 浩貴田中 康広志和 成紀小島 博己森山 寛
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 53 巻 2 号 p. 103-111

詳細
抄録
耳硬化症の初回手術症例について術後聴力成績, 不成功例および術後長期における聴力悪化の要因, そして術前CT所見と聴力像との関係につき検討を行った。
対象は156例192耳であり, 手術時年齢は14歳から73歳まで平均年齢は45.7歳であった。施行した術式は, small fenestra stapedectomyが177耳, partial stapedectomyが11耳, total stapedectomyが4耳であった。全例にSchuknechtのテフロンワイヤーピストンを使用した。ワイヤーピストンの長さは4.25mmが最も多く用いられた。
術後聴力成績の成功例は188耳 (97.9%: 日本耳科学会聴力改善の成績判定2000年) であった。不成功例は4例であり, 長期経過後に聴力が悪化したものは3例であった。それらの要因としてピストン周囲の線維性組織の増生やピストンの脱落・偏位が考えられた。
CT所見と術前聴力像については, 62%の症例で術前CTにおいて内耳周囲に脱灰像を認めたが, CT所見と術前聴力像との間に関連はみられなかった。
著者関連情報
© 2010 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top