耳鼻咽喉科展望
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臨床
粘液嚢胞を合併した巨大中鼻甲介蜂巣の1例
澤井 理華浅香 大也鴻 信義
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2010 年 53 巻 2 号 p. 117-120

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抄録
粘液嚢胞を合併した巨大な中鼻甲介蜂巣の1症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は18歳男性で右鼻閉を主訴に当科を紹介受診となった。鼻内所見上, 右鼻腔内に充満する巨大な腫瘤性病変と, 左に凸の鼻中隔彎曲症を認めた。副鼻腔CT所見上, 35×20mmの中鼻甲介蜂巣が右鼻腔内を充満し, 内部には均一な軟部濃度陰影を認めた。
以上より, 粘液嚢胞を合併した右巨大中鼻甲介蜂巣, 鼻中隔彎曲症, 慢性副鼻腔炎の診断にて, 全身麻酔下に両側内視鏡下鼻副鼻腔手術, 鼻中隔彎曲矯正術を施行した。右中鼻甲介蜂巣を開放すると, 内部より白色粘稠な貯留液を認めた。中鼻甲介蜂巣の内側壁は温存し, 外側壁をすべて除去した後, 甲介を整復した。現在術後5ヵ月, 経過良好であるが今後定期的な経過観察が必要と考える。中鼻甲介蜂巣が巨大化すると, 二次性副鼻腔炎の惹起のみならず, 甲介性鼻中隔彎曲を引き起こす可能性がある。鼻副鼻腔形態異常の整復のため, 鼻中隔彎曲矯正術, 内視鏡下鼻内手術は有用と考えた。
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