耳鼻咽喉科展望
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臨床
当科における顎下腺腫瘍の検討
小野 智裕嶋根 俊和江川 峻哉森 智昭三邉 武幸
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2010 年 53 巻 2 号 p. 121-125

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抄録

2005年9月から2009年8月までの4年間に手術治療を行った顎下腺腫瘍33例を対象とし, 年齢分布, 腫瘍の大きさ, 病理組織学的分類, 病悩期間, 穿刺吸引細胞診の有用性について検討した。
良性腫瘍26例のうち, 多形腺腫が20例と最多であった。悪性腫瘍は7例で, その内訳は腺癌, 腺様嚢胞癌, 多形腺腫内癌, 唾液腺導管癌, 粘表皮癌, 扁平上皮癌, 肺癌の転移であった。顎下腺腫瘍の中で悪性腫瘍の占める割合は21.2%であった。年齢分布では高齢女性で悪性腫瘍の頻度が高く, 腫瘍の大きさについては, 良性・悪性に差は認められなかった。病悩期間は良性40.3ヵ月に対し悪性75.3ヵ月であった。術前に穿刺吸引細胞診を行い, 正診率は92.3%, 敏感度66.7%, 特異度100%であった。
穿刺吸引細胞診の有用性を認めたが, 偽陰性率も33.3%であり日常診療時のインフォームド・コンセントにも考慮すべき因子であると思われた。

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