抄録
エアロゾル吸入療法は今からおよそ2500年前の紀元前500年ごろヒポクラテスの時代からすでに鼻疾患に応用されていた。その治療法が今日の日本の耳鼻咽喉科治療の大きな部分を占めるまでに発展してきた。著者らは薬剤をまったく含まない温熱蒸気 (43°C) を鼻に吸入するだけでアレルギー性鼻炎患者に有用であることを臨床的基礎的研究で証明した。また, 副鼻腔炎や喉頭炎への有効性に関する臨床的基礎的研究を継続的に行い, いくつかの成果を示してきたが, 本療法は, エアロゾル粒子の平均粒子径, 粒度分布, 霧化量, 治療中の加圧, 薬剤の有効性, 副作用, 保存法, 保険適用, EBMに基づいた有効性, 使用に際する細菌汚染など解決すべき問題も多く残されている。また, エアロゾル吸入療法の今後の新しい展開として嚥下障害への治療, 感染性疾患に対する予防接種, 上気道悪性腫瘍への応用が標的として開発されていく可能性が秘められている。