耳鼻咽喉科展望
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慢性鼻副鼻腔炎の成因・診断・治療
間島 雄一
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2012 年 55 巻 2 号 p. 118-125

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抄録

好中球を中心とする炎症による慢性鼻副鼻腔炎は副鼻腔自然口の閉鎖が主な成因である。好酸球性副鼻腔炎は気道全体にまたがる全身疾患が鼻・副鼻腔に出現していると考えるべきであろう。診断は「鼻副鼻腔炎と鼻茸についてのEuropean position paper」の慢性鼻副鼻腔炎の定義を参考にする。治療効果の判定は自覚症状, 他覚所見のsymptom scoreの改善度を組み合わせて評価する。治療効果の判定にはSNOT-20などの慢性鼻副鼻腔炎に特化したQOLの評価も欠かせない。小児における慢性鼻副鼻腔炎の病態は成人のそれとはかなり異なっているため, 同一の疾患として取り扱うべきではない。好中球を中心とした副鼻腔炎は患者が症状に悩み一定期間の保存的療法に効果がなければ鼻内副鼻腔手術を施行する。好酸球性副鼻腔炎は患者が鼻茸による鼻閉や粘膿性鼻漏に悩むようであれば手術療法を施行する。経口薬物療法とくにマクロライド療法, システイン製剤, ステロイド, ロイコトリエン受容体拮抗薬について効果と適応を示した。またエアロゾル療法の効果についても述べた。

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