耳鼻咽喉科展望
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臨床
急性進行性感音難聴を初発症状として急速な転帰を辿った髄膜癌腫症の1例
峯村 佐和子和田 弘太須田 稔士新井 千昭長岡 真人井田 裕太郎枝松 秀雄
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2014 年 57 巻 2 号 p. 82-86

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抄録

 髄膜癌腫症は癌細胞が脳・脊髄軟膜にびまん性に転移し, 髄膜刺激症状や脳神経症状などが多発性に出現する頭蓋内転移の中でも比較的稀な病態である。 悪性腫瘍の既往のある患者に脳神経症状が発症した場合には本症を疑うが, 潜在性の悪性腫瘍の初発症状として出現した場合には診断が非常に難しい。 予後は非常に不良で神経症状などの発症後1~2ヵ月で死に至る場合も多い。 今回われわれは進行性の感音難聴を初発症状とした, 胃癌転移による髄膜癌腫症の1例を経験した。 進行性の感音難聴や難治性の顔面神経麻痺を認める場合, 髄膜癌腫症も鑑別に入れ, 精査を行う必要があると思われた。

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© 2014 耳鼻咽喉科展望会
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