抄録
静脈性嗅覚検査 (アリナミンテスト) は嗅覚障害の予後判定として有効な検査法といわれており, アリナミンテストに反応のない例は嗅覚障害が高度で予後不良なことが多いとされている。 しかし, アリナミンテストに反応のない例でも治療により嗅覚が改善する例もしばしば経験する。 そこで今回, アリナミンテストに反応しない嗅覚障害例を, 治療により改善した群と改善しなかった群に分類して統計学的解析を行った。 その結果, 障害早期に受診し基準嗅力検査の検知域値と日常のにおいアンケートの合計点が良ければ, 予後良好な例があることがわかった。 また, アリナミンテストのみで評価を行っている施設においても早期受診した場合, 特に感冒後は改善する場合があり, 諦めずに治療を施行する意義があると考えた。