耳鼻咽喉科展望
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臨床
診断に苦慮し不幸な転帰をたどった重症筋無力症の1例
遠藤 朝則鈴木 香浅香 大也小島 博己
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2015 年 58 巻 5 号 p. 249-254

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抄録

 嚥下障害を主訴に耳鼻咽喉科を受診し, その後に診断に苦慮した重症筋無力症の1例を報告する。 症例は81歳, 男性で, 嚥下障害を主訴に当院を受診した。 当初は軽度の嚥下機能の低下のみであった。 その後, 急速に嚥下障害が進行し誤嚥性肺炎を繰り返し, 最終的に重症筋無力症と診断された。
 近年, 嚥下内視鏡検査が普及したことから, さまざまな疾患の嚥下機能評価が他科から依頼されることがある。 嚥下障害を来たす原因疾患として, 重症筋無力症も念頭に入れながら評価を行わなくてはならない。
 進行する嚥下障害を来たした症例では重症筋無力症を念頭に入れて診察を行い, 重症筋無力症の診断のために抗 AchR 抗体やテンシロンテスト, 反復刺激試験などの一連の精査を行うことが重要と考えた。

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