耳鼻咽喉科展望
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臨床
Gradenigo 症候群の1例
小黒 亮史茂木 雅臣松下 豊豊川 怜子渡邊 統星飯田 誠山本 裕小島 博己
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2020 年 63 巻 5 号 p. 221-227

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抄録

 Gradenigo 症候群とは中耳炎, 三叉神経痛, 外転神経麻痺を3主徴とする疾患概念である。 症例は10歳の女児。 側頭部痛と耳後部痛で発症するも近医耳鼻咽喉科・小児科診察で異常所見はなく, 鎮痛薬のみで経過観察したところ約1ヵ月後に外転神経麻痺を来した。 当院受診時に中耳炎所見を認め, 本症と診断した。 抗菌薬およびステロイド投与による保存的加療が奏功し, 症状・所見の改善を得た。 画像検査や治療経過より, 原発性錐体尖炎や中耳炎による続発性錐体尖炎が原因と推測された。 退院後6ヵ月時点で再燃を認めず経過良好である。

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© 2020 耳鼻咽喉科展望会
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