耳鼻咽喉科展望
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先天聾児への人工内耳装用後の実際
渡辺 千寿子
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1997 年 40 巻 1 号 p. 52-61

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抄録

舩坂が開設したチルドレンセンターに通う3名の人工内耳を装用した先天聾児たちの言語発達の経過を報告した。当センターの人的構成は幼児の言語発達を研究している人類学者, 幼稚園園長, 外国語の会話教師ならびに少なくとも二児を育てたことのある母親などで, すべてボランティアである。5歳8ヵ月で装用した女児は1ヵ月後で廻りに解る二語文を発し, 三語文は11ヵ月後, ほぼ1年後に六語文を理解するようになった。5歳で装用した双生児は1週間後に二語文を発し, 三語文は3~4ヵ月後, 六語文は5~6ヵ月後に理解するようになった。この結果ならびに大脳生理学から考えても, 人工内耳は早期装用が望ましい。また, 術後のトレーニングには母親の協力が欠かせなかった。

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