1999 年 42 巻 5 号 p. 510-513
18歳男性の右耳下部に生じた石灰化上皮腫を報告する。主訴は約2年前より続く右耳下部腫瘤である。皮下に硬く触れ, 大きさは2.0×1.5cmで, 皮膚と一部癒着していた。CTでは, 一部石灰化を伴う境界明瞭な病変を皮下に認め, 局所麻酔下に皮膚も含めて摘出した。HE標本では, 陰影細胞を主体として, 石灰化を伴っており, 病理組織学的に比較的陳旧性の石灰化上皮腫と診断された。SCC抗原は術前1.9ng/mlと高値であったが, 術後1ヵ月後には0.9ng/mlと正常範囲になっていた。