抄録
慢性副鼻腔炎において保存療法で治療効果が得られない場合, 上顎洞チューブ留置術, YAMIK療法等の処置や鼻内内視鏡手術, 上顎洞開窓術といった手術的療法により副鼻腔の換気孔を開大する手段がとられている。そこで, 鼻腔・副鼻腔間の換気の改善が鼻粘膜に及ぼす影響について, 換気孔の開大前後の鼻腔・上顎洞内圧の同時測定の結果と, サッカリンテストによる粘液繊毛輸送機能の変化, 鼻腔抵抗の変化とを比較検討した。
鼻腔上顎洞間の交通路は複数の方が上顎洞内圧の変動が大きく, さらに安静呼吸時より頻呼吸時の方が圧変動が大きくなり, 鼻腔内の気流の速度とともに, 換気孔の数が鼻腔・上顎洞間換気の状態に影響を及ぼしていると考えられた。また, 上顎洞の換気孔の造設は粘液繊毛輸送機能を改善させることが示唆された。