耳鼻咽喉科展望
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内視鏡下治療を行った特発性声門下狭窄の1症例
波多野 篤大橋 正嗣宇田川 寛子近澤 仁志重田 泰史中村 将裕梅澤 祐二
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2003 年 46 巻 1 号 p. 31-38

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抄録

声門下狭窄は, 喘鳴や呼吸困難等の気道閉塞症状を呈し, 感染症, 外傷や気管内挿管の後遺症として発症する他に, 原因を特定できないいわゆる特発性の症例もみられる。今回, 軽度の喘鳴と労作時の呼吸困難のため喘息として加療されていた28歳, 女性に対して, 内視鏡検査を行い声門下に全周性狭窄病変を認めた症例を経験した。既知の原因疾患を除外することで特発性と診断し, 各種の画像検査にて狭窄の部位と程度及び周囲構造物との関係等を精査した。病変は輪状軟骨から気管の軟部組織に限局していたため, 気管切開術後, 輪状軟骨を保持しながら気管前壁を縦切開し下方より内視鏡を用いて狭窄病変を切除した後, Tチューブを挿入した。術後経過は良好であった。特発性声門下狭窄に関して診断と治療法を中心に文献的考察を加えて報告した。

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