耳鼻咽喉科展望
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突然発症した鼾により発見された喉頭蓋嚢胞の1例
高島 雅之竹村 博一村田 英之小田 真琴山田 奏子友田 幸一
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2004 年 47 巻 6 号 p. 443-447

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抄録

喉頭蓋嚢胞は, 日常診療において偶然遭遇することの多い疾患である。しかし, その大半は無症状なことが多く, 経過観察されることもよくある。自覚症状としては咽喉頭違和感や時に呼吸苦を訴えることもあり, 特に呼吸苦は緊急手術の適応となりうる。今回我々は, 元来軒をかかなかった成人男性がある日から毎日軒をかくようになったことが起因し発見された喉頭蓋嚢胞の1例を経験した。嚢胞の発育は短期間で増大傾向を示し, そのため夜間呼吸苦様症状も出現したことから準緊急的に手術加療を行った。術前後に行ったアプノモニター検査では中等度認めた無呼吸が術後改善し, Dynamic MRIにおいても喉頭蓋付近の占拠性腫瘤が上気道の閉塞を伴い, 術後これが取り除かれたことにより上気道の他の箇所に狭窄や閉塞がないことが形態的にも確認された。突然発症するような軒症例では, 進行性の上気道占拠性疾患を強く疑い精査する必要があると考えられた。

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