耳鼻咽喉科展望
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前向き無作為多施設検討による神秘湯吸入療法とSodium Cromoglicate吸入療法による気管支喘息患者治療成績比較検討試験
西澤 芳男西澤 恭子後藤 グレイシイ・広恵吉岡 二三野坂 修一雨森 保憲谷垣 由美子永野 富美代山田 まゆみ平田 弥生安田 理絵川田 陽子天方 義邦伏木 信次
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2004 年 47 巻 Supplement1 号 p. 20-27

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抄録
我々は先に神秘湯吸入療法時, 気道病変局所神秘湯濃度がin vivo, in vitro実験系と同等濃度になるため, 神秘湯が同所5-リポキシゲナーゼ活性を抑制し, アスピリン喘息予防に有効であることをソディウムクロモグリセート (sodium cromoglicate : DSCG) 吸入療法との前向き無作為多施設二重盲検試駈で報告した。本報告ではアスピリン喘息例を無作為に2群に割りつけ外見上識別不可のソディウムクロモグリセート用カプセルにA群 (n=81) に神秘湯 (500μ9/1カプセル), B群 (n=80) にソデイウムクロモグリセート20mg/1カプセルを1日4回, ソディウムクロモグリセート用スピンヘラーで現治療を変化することなく6時間おきに追加吸入させた。3年間にわたり併発気管支喘息症状がいかに改善するか検討した。その結果, A群がB群に比較し, (1) 喘息自他覚症状, (2) 併用薬剤減量を統計的に右意に改善し, かつ (3) 副作用, 臨床検査値異常も少なかった。
以上の結果, 神秘湯吸入療法は気管支喘息治療薬としソディウムクロモグリセートより優れている可能性が示唆された。すなわち, 従来漢方薬の実験系使用濃度を臨床用量の病変局所濃度差を神秘湯吸入療法という手段を用い実験系同等濃度に達して, 実験系で示された多彩な神秘湯の抗アレルギー, 抗炎症反応がアレルギー反応を示す気道で直接発揮しえた結果と考えられた。
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