Otology Japan
Online ISSN : 1884-1457
Print ISSN : 0917-2025
ISSN-L : 0917-2025
原著論文
難治性中耳炎経過中に肥厚性硬膜炎をきたしたWegener肉芽腫症疑い例
藤原 良平齋藤 和也磯野 道夫森 一功
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 21 巻 1 号 p. 47-51

詳細
抄録

近年、P-ANCA陽性の肥厚性硬膜炎とWegener肉芽腫症の関連性が示唆されており、難治性中耳炎が初発であるという報告が散見される。
今回、我々は、難治性中耳炎の経過中に強い頭痛をきたした症例を経験した。この症例は、造影MRIで肥厚性硬膜炎の所見を認めたため、まず中耳炎からの炎症波及を疑い抗生剤・手術的加療をおこなった。しかし、頭痛・耳漏は軽快せず、ANCA関連血管炎にともなう症状の可能性を考え、ステロイドを投与したところ、症状は劇的に改善した。
ANCA関連血管炎にともなう肥厚性硬膜炎は、稀な疾患であるが、難治性中耳炎や頭痛を認める場合、鑑別の一つとして考慮することが必要である。

著者関連情報
© 2011 日本耳科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top