進行性高度内耳障害とCTで蝸牛周囲の高度脱灰像を呈したvan der Hoeve症候群の1例を経験したので報告する。症例は64歳の男性。両側難聴、回転性めまいがあり、近医でメニエール病の診断をうけ加療されていた。補聴器装用下でも会話が不可能となり、前医で人工内耳を提案され、当科を紹介初診した。聴力は右95dB(気骨導差30~50dB)、左は聾であった。当科受診時に青色強膜と多数の骨折歴が確認され、van der Hoeve症候群と診断した。本症例に対し、右アブミ骨手術を施行、術中所見でも内耳骨包の著明な脱灰像が確認された。術後合併症はなく、補聴器装用下での会話が可能となった。
当科で手術を施行した同症候群7耳でいずれも聴力改善が得られ、本疾患に対するアブミ骨手術は積極的に施行すべきと考えられた。また本症例のように高度内耳障害を呈していても、人工内耳手術の前にアブミ骨手術を検討するべきと思われた。