Otology Japan
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パネルディスカッション1
MR画像からみた鼓室内薬剤投与療法の評価
中島 務曾根 三千彦寺西 正明加藤 健大竹 宏直吉田 忠雄鈴木 宏和
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2011 年 21 巻 2 号 p. 161-167

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抄録

突発性難聴における鼓室内ステロイド注入療法やメニエール病におけるゲンタマイシン鼓室内注入療法が国内、国外で行われている。我々は、鼓室内に投与した薬剤がどのように内耳に分布するか、鼓室内にガドリニウム造影剤を投与してMRIを撮った。その結果、内耳への薬剤移行には極めて個人差が大きいことがわかった。ほとんど内耳に薬剤が移行しない1割程度の症例では、正円窓の透過性が極めて悪いと思われた。正円窓の透過性が悪かった2症例に鼓室開放術を施行し、正円窓を直接観察してガドリニウム造影剤を投与したが1例では内耳への移行を達成できなかった。ガドリニウム造影剤は外リンパに入り内リンパには移行しにくいので内リンパ水腫の程度も判断できる。このように鼓室内ガドリニウム造影剤投与後のMRIから、鼓室内薬剤投与療法に有用な情報が得られる。

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© 2011 日本耳科学会
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