抄録
目的: 中耳真珠腫進展度分類 (2010) の実用性を評価すること。方法: 対象は、2009~10年に当該5施設で初回手術を行い3年間経過を見た後天性一次性真珠腫350例である。病型、進展度と術後聴力、再発との関係を施設間比較した。結果: 病型は、弛緩部型66~78% (平均71%)、緊張部型17~28% (平均21%)、混合型4~12% (平均8%)。術後、気骨導差が20dB以下に改善した割合は、弛緩部型74%、緊張部型62%、混合型34%と混合型が最も低く、各病型とも進展度が高いほど低くなった。遺残再発率は3~18% (平均10%) で、段階手術では術後12ヶ月に、一期的手術では術後24~36ヶ月に発生のピークが見られた。再形成再発は0~4.4% (平均2%) で、術後6~36ヶ月に渡り見られた。いずれの再発も進展度が高いほど増加した。結論: 進展度分類で施設間のデータ収集、比較が容易になった。また、術後聴力や再発率とも良く相関し実用的であることがわかった。