Otology Japan
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原著論文
後期高齢難聴者における人工内耳の長期的有用性と問題点
安本 眞美山崎 博司藤原 敬三濵口 清海道田 哲彦戸部 陽太上田 啓史内藤 泰
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2022 年 32 巻 3 号 p. 328-332

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抄録

人工内耳を長期装用している高齢者において,その有用性と課題について後方視的に検討した.対象は当科において人工内耳植込術を施行した成人中途失聴者で,10年前に65歳以上で人工内耳を装用していた22名のうち,通院を自己中断した1名を除外した21名とした.これらの患者について,現在の装用状況,人工内耳装用効果,語音聴取成績の年齢による変化を後方視的に検討した.21名中15名は現在も人工内耳装用を継続しており,多くの症例で良好な装用効果が維持されていた.経過中の死亡が3名あったが,生前の装用効果は良好で,最期まで人工内耳を装用していた.装用中止が3名あり,いずれも語音聴取成績が不良で,人工内耳を活用できていなかった.また語音聴取成績の年齢による変化をみると,後期高齢者に至るまでは安定して良好な成績が得られていたが,その後は加齢に伴い聴取成績低下の傾向がみられた.

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© 2022 日本耳科学会
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