応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
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ペロブスカイト型触媒の自己再生メカニズムの放射光X線解析
西畑 保雄田中 裕久
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2003 年 72 巻 5 号 p. 582-586

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抄録

自動車触媒は分散された貴金属で構成されており,排ガス中の窒素酸化物(NOx),一酸化炭素(CO),燃料の未燃成分(HC)を無害化するために広く用いられている.従来型触媒は高温の排ガス環境下で引き起こされる貴金属粒成長により劣化するが,ペロブスカイト型酸化物(LaFe0.57Co0.38Pd0.05O3)は貴金属の高分散状態および高い触媒活性を維持し続ける.現代のガソリンエンジンからの排ガスの酸化還元雰囲気変動に対して,触媒が構造的に応答する.そのため貴金属パラジウムがペロブスカイト格子へ可逆的に固溶・析出し,貴金属粒成長が抑制されているということが,シンクロトロン放射光を利用したX線異常散乱とXAFSにより明らかにされた.

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© 2003 公益社団法人応用物理学会
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