2004 年 73 巻 5 号 p. 643-647
ペロブスカイト型遷移金属酸化物をはじめ遷移金属酸化物は,電子間のクーロン相互作用をあらわに考慮する必要があることから強相関電子系物質と呼ばれ,磁性(スピン),電気伝導性(電荷),および結晶格子(電子軌道),の三者が密接に関係した物性を示す.ここでは,超巨大磁気抵抗効果(Colossal Magnetoresistance : CMR)を示すペロブスカイト型マンガン酸化物に注目し,強磁性金属相と電荷・軌道整列(絶縁)相の競合に由来する磁場誘起相転移や相制御について簡単に解説したい.