2005 年 74 巻 2 号 p. 208-212
Si(001)表面の超高真空・極低温環境における基底状態は,2003年に至るまで確定していなかった.2000年に静止した対称ダイマーもしくはフリップフロップ運動をした非対称ダイマーから構成される2x1構造がその基底状態として提案されて以来,多くの表面物性研究者の議論が引き起こされ,現在まで継続している.われわれは極低温走査トンネル顕微鏡を用いて,Si(001)表面の基底状態を解明する過程において,2種類の非対称ダイマー相であるc(4x2)相とp(2x2)相を可逆的に構造変換できることを発見した.その結果として,極低温環境における基底状態がc(4x2)相である可能性が高いことを報告した.本稿では,先達の歴史的な研究成果を十分に踏まえて,現時点での研究の状況を紹介する.