2006 年 75 巻 1 号 p. 49-52
高温超伝導体の発見から,はや20年が経過しようとしている.この間に,高温超伝導体特有の現象が見いだされてきた.特に,磁場中の超伝導特性は,磁束線の温度揺らぎと超伝導の強い異方性から,磁場が超伝導面と垂直な場合には,磁束線格子融解の一次転移現象などが実験的に検証され,理論的にも確立されてきた.しかしながら,高温超伝導体の応用が,主に磁場を超伝導面に平行にかけることによって得られる面ピニングを利用しているにもかかわらず,平行磁場の磁束線(ジョセフソン磁束線)状態の研究は,理論的解明のみが進んでおり,実験的には最近になってようやく解明されてきた.本稿では,平行磁場の磁束線状態の理論的まとめと実験の現状を紹介する.