2006 年 75 巻 3 号 p. 314-317
TTF -TCNQ電荷移動錯体は,一次元有機金属の典型物質として知られている.この有機導体を電界印加共蒸着法によって配向成長させると,有機導体による細線(有機導体ワイヤ)が得られる.有機導体ワイヤは印加する電界によって成長方向の制御が可能で,独立に成長する2本の有機導体ワイヤを接続することもできる.有機導体ワイヤの成長機構に関する最近の研究結果に基づいて,2本の有機導体ワイヤの接合点に微小な有機半導体デバイスを作り込み,FET動作を実証した.これまで有機半導体デバイスは高抵抗・低移動度のため実用化には困難が伴うとされてきたが,作製された有機ナノデバイスはその弱点を克服し,“やわらかい電子デバイス”実現に一歩近づいたといえる.