2006 年 75 巻 4 号 p. 461-466
結晶化初期過程である「核生成」は,1930年代に古典的核生成理論により提唱され,「常識」とされているが,「核」の数密度が小さすぎて直接観察が困難だったために,いまだに検証されていない.したがって核生成の真のメカニズムは未解明である.われわれは高分子の核密度を「核剤」を用いて増大させることにより,核生成の小角X線的直接観察に初めて成功し「核生成の実体」を明らかにした.高分子は巨大な“ひも状分子”なので,流動場では融液中分子が容易に引き伸ばされて結晶化挙動が著しく変化する,と“推論”されてきたが,直接的証拠はなかった.われわれは新たに発見した「渦巻き結晶」の成長を直接観察することより,高分子が引き伸ばされて“配向融液”になり結晶化が加速されるという実験的証拠を初めて得,流動場特有な結晶化加速メカニズムを明らかにした.