応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
75 巻, 4 号
『応用物理』 第75巻 第4号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
企画の意図
総合報告
  • 橘 邦英
    2006 年 75 巻 4 号 p. 399-411
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    近年,μm〜mmスケールの微小なプラズマが注目されてきている.大気圧を含む高気圧領域で生成されるマイクロプラズマは,低圧下のマクロスケールで生成される従来のプラズマとは違ったプラズマパラメーターや微小空間に起因するパラメーターで特徴づけられる.そのような特性をプラズマ本来の反応性,発光性,導電・誘電性と組み合わせることによって,材料合成や微細加工,化学分析やフォトニックデバイスなどへの新しい応用技術への発展の兆しがみえてきた.そこで,マイクロプラズマの生成と診断・シミュレーションの現状や今後の課題とともに,バイオマテリアルのプロセスを含めた多方面への新しい応用の方向を解説し,マイクロプラズマが創成する学術分野や応用技術の将来を展望する.

解説
  • 神原 淳, 吉田 豊信
    2006 年 75 巻 4 号 p. 412-418
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    プラズマスプレーコーティング技術は,超高速堆積の特徴に加え,各種機能材料のコーティング,コーティング界面の制御によって,環境,エネルギーからバイオに至る多彩な産業分野からの要求を満たすコーティング技術として展開しつつある.しかし,さらなる展開を図るためには,技術先行型の本分野を科学的観点から見直し,新たなプロセス原理を導入することが必須であるとの認識がここ数年高まっている.事実,制御性が近年飛躍的に向上し,優れた成果が出始めており,近い将来,超高速でありながら電子デバイス分野など従来対象外であった分野への適用を視野に入れた高品質薄膜や厚膜の作製を可能とする次世代コーティング技術として展開することが確信される.

  • 小駒 益弘, 田中 邦翁
    2006 年 75 巻 4 号 p. 419-425
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    一般に,プラズマCVDやエッチングは低圧グロー放電で行われているが,大型汎用品の真空下での処理はコストの点で困難が多い.この点を解決する方法として小駒,岡崎らにより,大気圧グロープラズマ法が提案され,現在大型フィルム処理機や,プリント基板の洗浄などに使用されている.大気圧グロープラズマはDBD放電の一種で,Heを主体とするガス中にモノマー気体を少量混入することにより,自動的に高速パルス放電状態になるため,大気圧条件下でもアーク放電に移行することなく低温下で均質な処理が可能となった.この解説では,主に大気圧グロープラズマ法の基礎理論とその応用技術,および本技術の将来への展望などについて紹介した.

  • 酒井 朗, 財満 鎭明
    2006 年 75 巻 4 号 p. 426-434
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    次世代シリコンULSIの開発は,これまでのスケーリング則に準じた性能向上路線から脱却すべき時期に差しかかっている.この中で特に,Si-MOSFETのチャネル領域に対して特定方向のひずみを誘起して高移動度化を図る技術が近年注目されている.ひずみチャネル層を形成するうえで,Siと同じIV族系半導体であるGeやSi1-xGex は好適な材料であり,それらで構成されるひずみ緩和層は,現在,実用化を見据えた新たな局面を迎えている.一方で,ひずみを積極的にデバイス構造に持ち込み,高性能・高機能化へと役立てるためには,ひずみの絶対量のみならず,その形態や分布に十分な注意を払う必要がある.同時に,ひずみの誘起と緩和に密接に関連する転位の構造,配置,分布の制御が不可欠となる.本稿では,ひずみチャネル技術にかかわるSi1-xGex を中心に,関連技術の研究動向をはじめ,IV族系半導体へテロ界面におけるひずみと転位のエンジニアリングと最先端評価技術を解説する.

  • 増田 公明
    2006 年 75 巻 4 号 p. 435-440
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    銀河宇宙線は地球大気中で核反応のシャワーを起こし,さまざまな同位体を生成する.代表的な核種は放射性炭素 14Cである.地球に到達する銀河宇宙線強度は太陽活動がつくる惑星間空間磁場に依存するので,放射性炭素の生成率も太陽活動を反映する.本稿では,放射性炭素の測定から過去の太陽活動を復元する方法を概説し,最近の研究結果を紹介する.

最近の展望
研究紹介
  • 屋良 卓也, 岩根 和良, 湯浅 基和
    2006 年 75 巻 4 号 p. 456-460
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    高電圧パルス電界を利用することで,窒素ガス中でも安定かつ大面積の大気圧プラズマ発生が可能になり,LCDガラスの洗浄や,プリント配線分野の表面改質に有効であり実用化されている.窒素ガスを主とする洗浄メカニズムを発光分光や表面分析(XPS)より考察した.

  • −初の核生成直接観察と流動場結晶化−
    岡田 聖香, 渡邉 香織, 彦坂 正道
    2006 年 75 巻 4 号 p. 461-466
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    結晶化初期過程である「核生成」は,1930年代に古典的核生成理論により提唱され,「常識」とされているが,「核」の数密度が小さすぎて直接観察が困難だったために,いまだに検証されていない.したがって核生成の真のメカニズムは未解明である.われわれは高分子の核密度を「核剤」を用いて増大させることにより,核生成の小角X線的直接観察に初めて成功し「核生成の実体」を明らかにした.高分子は巨大な“ひも状分子”なので,流動場では融液中分子が容易に引き伸ばされて結晶化挙動が著しく変化する,と“推論”されてきたが,直接的証拠はなかった.われわれは新たに発見した「渦巻き結晶」の成長を直接観察することより,高分子が引き伸ばされて“配向融液”になり結晶化が加速されるという実験的証拠を初めて得,流動場特有な結晶化加速メカニズムを明らかにした.

  • 三宅 秀人, 平松 和政
    2006 年 75 巻 4 号 p. 467-472
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    窒化物半導体の転位密度の低減に,成長時におけるファセット制御が非常に重要である.GaNの有機金属気相成長(MOVPE)では,選択成長の結晶形態は成長温度,成長圧力などにより制御できる.ファセット構造を制御しながら選択横方向成長(ELO)を行うFACELOにより,106 cm-2台まで転位密度の低減が可能となった.また,高いAlNモル分率で低転位密度AlGaN膜を作製するため,凹凸のあるエピタキシャルAlN基板を下地として用いてMOVPE法により成長を行った.この方法により,107cm-2台までAlGaNの転位密度の低減を可能にした.

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