国立天文台では,高感度受信機用ミキサー素子への応用を目指して,ニオブ(Nb)薄膜をベースとした超伝導トンネル接合,いわゆるSIS接合の開発を続けてきた.その結果,面積1μm2で電流密度10kA/cm2をもつ高品質のSIS接合を製作することが可能になっている.これらの高品質SIS接合をミキサー素子に利用して,フォトンの等価雑音温度(hν/kB)の3倍程度というきわめて低い受信機雑音温度をもつ,超高感度のミリ波,サブミリ波帯の受信機の開発に成功している.現在,これまでに蓄積したSISミキサーに関する技術をもとに,2011年完成予定の世界最大のミリ波,サブミリ波帯干渉計型電波望遠鏡ALMAへの搭載を目指して,1THz帯の低雑音,高感度SISミキサーおよび受信機の開発を行っている.