応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
最近の展望
量子ホール効果を用いた走査型エレクトロメーター
河野 行雄
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 76 巻 3 号 p. 269-274

詳細
抄録

「電子が空間的にどう流れるか? 時間的にどう揺らいでいるか?」という問題は,デバイス研究における古くて新しいテーマである.本稿では,この問題に対して画像観察による直接的な探求を可能にする走査型エレクトロメーターについて概観し,最近,筆者らが独自に開発した,量子ホール効果を利用したエレクトロメーターを解説する.このエレクトロメーターでは,大きなシュブニコフ・ドハース振動を用いて,高感度・高速な電圧検出が可能である.この技術を量子ホール伝導体に適用することで,ホール電圧分布と雑音電圧分布の画像観測に成功した.本研究から,電圧の時空間特性の微視的な観測が,電荷ダイナミクスを探求する強力なツールとなることを紹介したい.

著者関連情報
© 2007 公益社団法人応用物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top