2008 年 77 巻 6 号 p. 656-661
カーボンナノチューブ(CNT)は電子デバイスから医療器具まで幅広く応用が期待され,安定した品質の得られる大量合成技術とともに,CNT材料の評価技術の確立・標準化が望まれている.フォトルミネッセンス(PL)分光はラマン分光と並んで重要な評価技術である.CNTの光学特性は周辺の環境により敏感に変化する.PL分光法を評価技術として確立するためには,PLの基礎的物理に加え,環境効果を理解する必要がある.この環境効果は,主にキャリア間に働くクーロン相互作用の遮〔しや〕蔽〔へい〕効果に起因する.それに加え,周辺材料との力学的相互作用や界面特性も影響する.環境に敏感なことを利用したナノスケールのセンシング技術も提案され,環境効果は応用面も興味深い.