2009 年 78 巻 1 号 p. 31-36
2008年2月23日,LaFeAsO1-xFx が臨界温度(Tc)26 Kの超伝導を示すという筆者らの論文が,米国化学会誌の電子版で公開になった.本稿では,この発見までの研究の流れと,それ以降の進展について記述する.これまでの研究で以下の事項が明らかになった.①これまでに報告された鉄系高温超伝導体は,いずれもFeイオンの正方格子を有し,フェルミ準位は主にその3d軌道からなる.②高い Tc を示す系の母物質は,低温で構造相転移が生じる.③電荷調整層のみならず,伝導層のFeとAsも,深刻な Tc の低下なしに,部分的にほかの元素で置換が可能であり,結果として膨大な数の候補物質が存在する.