2010 年 79 巻 4 号 p. 321-325
SIMSは高感度な物理分析法で,さまざまな分野で幅広く利用されている.特に無機材料の評価では微量元素の深さ方向分析に多用され,半導体をはじめとする各種デバイスの微細化が進む近年では,ナノメートルレベルの深さ分解能が要求されている.SIMSでは,一般に,感度の向上を目的に反応性に富む酸素やセシウムなどのイオンが一次イオンとして用いられているが,これら反応性イオンの照射は固体表面との相互作用を複雑にし,照射条件によっては深さ分解能の低下を導く.しかし,試料の性質に合わせて一次イオン照射条件を最適化することで,深さ分解能の低下は抑制することができる.現状では,一次イオンの低エネルギー化と入射角度の適切な選択によって,ナノメートルレベルの深さ分解能は実現可能なレベルにある.