2011 年 80 巻 12 号 p. 1078-1081
細径内視鏡に光ファイバを挿入したレーザー内視鏡が,ヘルニアの除去や前立腺肥大の治療に実用化されているが,筆者らは,高エネルギー赤外光の伝送が可能な中空光ファイバを用いることにより,極めて高い効率で生体組織の蒸散などが可能な,波長2.94μmのEr:YAGレーザーを用いた内視鏡レーザーシステムを実現した.また,人体に傷をつけない無侵襲な生体内組織診断である光バイオプシーのための技術として,悪性腫瘍の診断・早期発見や動脈硬化に伴う血管内壁の状態変化の診断などに有効な赤外分光法およびラマン分光法が挙げられるが,これらの両方に適用可能な光プローブとして,細径かつ柔軟な中空光ファイバを用いた分光システムを開発した.