2012 年 81 巻 1 号 p. 15-20
分子エレクトロニクスは,AviramとRatnerの単一分子ダイオードの提案から38年という歴史をもつ.単一分子を電極で架橋した単一分子接合は,新たな物性発現の低次元構造体として基礎科学の面からも注目を集めている.それ以外にも金属錯体分子膜の高い電子移動能,導電性高分子電極,分子機械を利用したデバイスなどさまざまな研究が報告されている.本稿では,単一分子接合から単分子膜トランジスタ,分子機械を利用した分子素子,2次元平面を利用した超分子構造体の電気伝導測定など分子エレクトロニクスの最新の動向と今後の展望について解説する.