2013 年 82 巻 7 号 p. 566-570
磁束量子を利用した超伝導デジタル回路は,ハイエンド情報ネットワーク機器への応用を目指し,高集積化と並行して高エネルギー効率化が推し進められている.半導体回路に対しての優位性を導いているのは,ジョセフソン接合の高速性・低消費電力性とともに,無損失性という超伝導体本来の基本的な特性であった.最近の数年間で超伝導デジタル回路の消費電力は約1/10に低減された.一方メモリでは,磁束量子の保持による記憶が放棄されようとしている.素子内に組み込まれた磁性体の磁化の向きで記憶素子を構成する方式が提案され,その高集積化の可能性から研究が一気に活発化した.本稿では,新時代に突入したこれら超伝導デジタル技術について概説する.