2016 年 85 巻 1 号 p. 33-37
自動車のエンジンが吸入する空気には水分(水蒸気)が含まれているが,この吸入空気中の水分量の変化に合わせて,エンジンや排気ガス後処理システムを制御できれば,燃費の向上や汚染物質の発生量の低減につながると考えられる.従来からこのような考えはあったが,適切な湿度センサがなかったため,実際にはそのような制御は行われてこなかった.しかし,近年になって,高性能なMEMS湿度センサの開発が活発化したことや,市場の低燃費志向と各種排ガス規制が強化されてきたことから,そのような制御が行われるようになり,湿度センサを吸気系に搭載した自動車が高級車を中心に増えてきている.本稿では,湿度計測を取り入れた最近のエンジン制御技術の動向について紹介する.