従来のエレクトロニクスデバイスでは,室温(環境熱雑音)に対して十分に高いエネルギーを投入することで,高速かつ正確な演算を実現している.これに対して生体系の行う情報処理は,熱雑音(揺らぎ)を巧妙に活用することによって,処理速度は低速であるが,熱雑音と同レベルの超低消費エネルギーで確率的に動作している.この“揺らぎ”情報処理の鍵は,環境からの“熱”エネルギーを活用する点にある.これまで“厄介者”であった“環境中の雑音(揺らぎ)エネルギー”を生かす逆転の発想による生体に学んだ超低消費電力デバイスの実現が期待される.